ダイス
紗江子はそこで真実に辿り着いた。
そういうことか。
だから、殺したんだ。
でもそれは今は関係のないことだ。
今聞き出しているのは、新井が明良の事件を知った経緯だ。
明良が何故、あんな事件を起こしたのかではない。
「そしたら、彼が訊いてきたんだよ。貴方もそういった経験があるのか、て」
明良は冷めきったであろうコーヒーを啜った。
「何で、話しちゃったんだろ。はぐらかすことも勿論出来た。でも、話してしまった。……多分、残したかったんだと思う。誰かに話すことでより明確に」
自分は確実にこの世界に存在しているのだと。
「そしたら、新井は笑った。俺達、確かに此処にいるんですよね、て」
そう言った明良の顔が少し悲しそうに見えたのは気のせいか。
「そうだと思った。確かに、此処にいるんだって」
明良の抱えたものは自分には一切分からない。
似ていると感じたのが間違いだったかのようだ。
「でも、まさか真似されるとは思わなかった」
明良はそう言って、テーブルの上で拳を握った。
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