ダイス



だから、親しくなった明良に打ち明けたくなった。


そういったところだろう。


結局のところ、新井はまだこどもだということだ。


「だから、言ったんだ。存在してる証明が出来たじゃん、て。殺したのが確かなら、殺した人間は確実に存在するんだって」


ぞっとした。


そんなことで存在している証明を実感するなんて。


紗江子はブラウスの上から両の腕を擦った。


店内は冷房が効いているわけではないのに寒く感じる。


それは明良が放つ、冷たい空気のせいだろうか。


春など知らない、雪に閉ざされた土地のような冷たさ。




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