冷たいアナタの愛し方
ローレンの王宮には数多くの死体が転がっていた。

あの中にオリビアの両親が居たかもしれないと思うと、ちゃんと心に血が通っているジェラールは居たたまれなくなって、包帯を巻いているオリビアの手首を握って止めた。


「死んだと決めつけるな。お前は何故ルーサーに拾われたんだ?何か目的があってここに来たのか?」


「…ウェルシュがローレンを襲う計画を立てたと聞いたわ。理由が何であれ、永世中立国に牙を剥くなんて…許されない。私は両親のことをウェルシュ本人から聞き出すために来たの」


「大した目的だが、あいつはこれから王になれると思って威張り散らしている馬鹿だぞ。お前の言うことなんか素直に聞くと思うか?」


「残念ながら私、あいつに気に入られてるの。だからなんてことないわ」


…どこまでも強気。

真っ赤になっている目をぐいっと拭って握られた手を振り払ったオリビアは、もふもふのシルバーの首を抱いて顔を埋めた。

どうだ羨ましいだろ、と言わんばかりに尻尾を揺らすシルバーは、頬に残っていた涙をぺろぺろ舐めるとオリビアを笑わせて絨毯の上に寝転がってお腹を見せる。

オリビアはそんなシルバーのお腹を撫でてやりながら、ベッドの上に置いていた清潔なシャツを顎で指した。


「早くそれを着て。…私が泣いたことはルーサーには言わないで」


「俺に指図するな。お前…ルーサーに惚れているのか?」


――直球を投げられた。

思わずばっと顔を上げて目を見張ったオリビアの顔にはありありと図星と書かれてあり、ジェラールは鼻で笑うとシャツを着てようやく均整のとれた身体を隠した。


「あいつはお前が思ってる以上に女に人気があるぞ。地位もあるし頭もいいし顔もいいからな」


「あなたとは正反対ってわけね、よくわかりました」


むっとしたジェラールをいい気味だと思いつつも、シルバーの肉球をぷにぷに触りつつやっぱりそうかと内心しょげてシルバーに抱き着いた。
< 100 / 187 >

この作品をシェア

pagetop