冷たいアナタの愛し方
まだ熱を出しては苦しそうにしているジェラールの傍から離れることのできないルーサーに付き合っているオリビアは、焦れていた。

ウェルシュは事あるごとにジェラールの離宮周辺を歩き回り、自分が出て来るのを待っている。

時々シルバーをけしかけて震え上がらせて撃退するのだが…オリビアとしては両親を殺したかもしれないウェルシュから様々な情報を聞き出さなくてはならない。


「あの…ルーサー、今いい?」


「うん、どうしたの?」


「あの……シャワーを借りてもいい?」


奴隷の立場としてはこんな頼みごとをしてはいけないのだが…もし自分の身体が匂っていたらどうしよう、と女心を抑えられないオリビアがソファに座ってもじもじしていると、ルーサーは読んでいた本を閉じて頬をかいた。


「ああ、ごめん…そうだよね、お風呂入りたいよね。じゃあちょっと待ってて」


一旦2階に上がったルーサーを大人しく待っていたオリビアだったが…

降りてきたルーサーが紙袋を持っていたので、首を傾げてそれを指した。


「これは何なの?」


「その姿は苦痛でしょ?よかったらこれに着替えて。…言っておくけど、ジェラールの趣味だからね。僕じゃないから」


「?わかったわ。ありがとう、じゃあシャワーお借りします」


今まで何度かバスルームを借りたことがあるのだが…薄汚れたローブは奴隷が着る服で、どんどん汚れてきていたのでいつ洗おうと考えていたオリビアは、全てを脱いだ後熱いお湯を頭から被った。


少しずつ色落ちしていく髪の色も気になりつつ、石鹸も借りて身体中綺麗にすると、ふかふかのタオルで身体を拭いて紙袋を開いて――絶叫。


「な…何よこれ!」


「わふっ?」


バスルームの前で座り込みをしていたシルバーがドアの外で声を上げたので慌てたオリビアは何でもないのよ、と優しく声をかけてから、今度は絶句。


「め…メイド服…!?」


黒のワンピースに白いフリルがつき、白いエプロンと黒いタイツ――そして白いカチューシャ。

スカート丈は恐らく膝上。


「あいつ…馬鹿な上にど変態ね」


薄汚れたローブを着るかメイド服を着るか…

極限の選択を迫られていた。
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