冷たいアナタの愛し方
給仕係たちが作ってくれる食事に不満はないが、今はどのタイミングで毒を混入されるかもわからないので、食事はルーサーが作っている。

オリビアは料理が苦手だからと野菜を切ったりする位しか手伝わないが――その簡単な作業でさえも難しそうにしているので、それを思い出したルーサーはつい苦笑しながらジェラールがよく眠れるようにとミルクを温めていた。


「ルーサー…あ、あの…これ…」


「何度も言うけど僕の趣味じゃないよ。ジェラールに女性ものの着替えがないか聞いたらそれがクローゼットから出て来たんだ。本当に僕の趣味なんかじゃ…」


鍋から目を離さず背中を向けてそう言い訳を募らせてみたが――オリビアの返事がないので肩越しに振り返ってみると…


オリビアはきっちりメイド服を着こなして、カチューシャもちゃんと頭につけていた。

…どう考えても奴隷用というよりは観賞用という感じで、掃除をしたりするときには不向きだ。

屈むとスカートの中が絶対見えてしまいそうな短さの丈なので、ルーサーも思わずジェラールの趣味を疑ってしまった。


「あー…えーと…よく似合ってるって言っていいのかな」


「それって誉めてるのよね?こんなの女の子に着せて喜ぶなんて、あいつやっぱりド変態だわ」


「うーん…まあ…僕も嫌いじゃないけど。いや、ほら、よく似合ってるっていう点でね」


なるべくオリビアの脚や胸元に視線がいかないように注意しつつも、ルーサーも男だ。

ぎこちなくまた鍋に視線を戻してぐつぐつ煮立ってしまったミルクをマグカップに移し、それをオリビアに持たせる。


「これをジェラールに持って行ってくれるかな。放っておくと薬を飲まないから、それに溶かしておいたから」


「この姿を見せなきゃいけないの!?」


「そうだよ、何か問題でも?」


背に腹は代えられないことはわかっていたが、やっぱりこんな姿を見せるのは…と躊躇しつつもルーサーがメイド服姿を誉めてくれたのは事実で、少し気分を良くしたオリビアはくんくん鼻を鳴らしてホットミルクの匂いを嗅ぐシルバーをめっと叱って階段を上がる。


「後であげるからね。ジェラール坊ちゃん、起きてますか?開けますよー」


返事が無いのはいつものことなので構わず開けて部屋へと入ったオリビアは、ジェラールの垂れた目がまん丸になったのを見てにやりと微笑んだ。
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