冷たいアナタの愛し方
ルーサーとふたりきりでいれることは嬉しいが…それよりも何よりもどきどきしすぎて会話にならない。

特にネクタイ姿のルーサーは少しセクシーに見えて、ジェラールが早く戻ってくればいいのにと矛盾したことを考えつつも、床に寝転がっていたシルバーの肉球をぷにぷに触りつつ計画を練っていた。


「ジェラールの即位式が終わったらローレンに戻らないとだけど…その前に私とシルバーで戻れるかしら。ちゃんと装備を整えてから行かないと」


「わうわうわう」


僕が全速力で走るから大丈夫だよ。

そうシルバーが訴えかけれど言葉が通じず、気付いてほしくてしきりにオリビアの顔を舐めていると目下のライバルが耳に触ってきた。


「即位式が終われば僕自体は暇になるからローレンまで送って行くよ。よければ国王陛下たちのお墓を作る手伝いもさせて」


「ありがとう…。あなたは本当に優しいのね」


またいい雰囲気になりかけてしまってシルバーが唸り声を上げようとした時、滅多にここまでは入って来ないハーマン宰相がノックと共に飛び込んで来た。


「る、ルーサー王子!大変なことが…!」


「なにどうしたの、落ち着いて。ゆっくりでいいから」


あくまで冷静な対応のルーサーにそれまで取り乱していたハーマン宰相は大きく深呼吸をして、ちらっとオリビアを盗み見しつつ緊急事態を語る。


「ハルヴァニアのレイド国王陛下が当初の予定よりも早くお見えになりました!ただいまジェラール様が対応なさって…」


「レイド!?」


つい声を上げてしまったオリビアは慌てて両手で口を塞いでソファに座って縮こまる。

ガレリアと肩を並べる程の強国である国の王の名を呼び捨てにしたオリビアを叱り飛ばしたかったハーマン宰相だったが、それよりも憂慮しなければならない事態だ。


「今すぐ玉座までおいで下さいませ!ローレンを攻めたことを糾弾しに来たようで…お怒りになられておいでです」


「ああ面倒な…。じゃあ行こうか。オリビア、君も来る?」


「え、ええ……」


いつも遊んでくれていたレイド。

こんな姿を見たら一体どう思うだろうかと思いつつも、本来は断らなければならないのに懐かしさのあまりルーサーの後をついて行ってしまった。
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