冷たいアナタの愛し方
「レイド…!お父様たちは生きているのね?殺されてないのね!?」


「それはどこの情報?へスター国王陛下方は全員無事だよ。君ひとりはぐれてしまって右往左往しておられた。無事で本当に良かった」


「そう…私だけ先に逃がされたの。もうだめかと思った…。ウェルシュがお父様たちを殺したって言ったから…」


「じゃあ私が見たのは幻ということかな?やけにはっきりしてたけどなあ」


ぐすぐすと鼻を鳴らして泣いてしまったオリビアの肩を抱いたレイドは、シルバーが居た隣室に入ると鍵を閉めてオリビアを椅子に座らせる。

金茶ではなくアッシュブラウンの色になっている髪に触れようとするとすぐさまシルバーが飛んで来て牙を剥き出しにしてうなられて降参ポーズをした。


「オリビア…ローレンに戻ろう。私は君がここに居るんじゃないかと思って来たんだ。死んでいなくて…本当に良かった。信じていたよ」


「レイド……」


オリビアはもう子供ではない。

結婚できる年齢になったし、養女ではあるがひとり娘のオリビアを何よりも慈しんで愛しているへスターたちの人柄が大好きなレイドは、オリビアを妻にすることに何の抵抗もなくまたそれを望んでいた。

…だがガレリアの王子であるジェラールやルーサーと親しげな様子が癪に障り、今すぐここから連れ出さなければ想定しえないことが起こりそうな気がしてオリビアを諭す。


「ここでの事情は追々聞くから今すぐ出よう。それいいね?」


「私…ルーサーには特にお世話になったの。今ジェラールの即位式で忙しくて…手伝ってあげたいし、即位式を見てから帰りたいわ。だからレイド…先に戻っててくれる?」


「え?それはできない約束だ。私は君を必ず連れ帰るとへスター国王陛下と約束を交わしたんだから、必ず一緒に帰るよ。…残るというなら私も残ろう。そうしよう」


…押しの一手。


うまく断りきれなかったオリビアは、それでも再会を喜んでシルバーがじっとり上目遣いで見つめてくる中レイドを抱擁を交わした。
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