冷たいアナタの愛し方
「やっぱりあなたはこの姿でなくちゃ!」


オリビアは瞳を輝かせて銀色のふかふかの毛波を思う存分撫で回した。

人の姿のシルバーにはできないが、獣の姿のシルバーにはどんなことだったできる。

まるで笑っているように口角を上げているシルバーに挑戦状をたたきつけられた形のジェラールとルーサーだったが…同じことはもちろんできない。


「さてと…僕はもう戻るよ。リヴィ、朝までここから出ないようにね。レイドはここに入って来れないけどあいつは何をするかわからないから」


「ええわかったわ」


…どうしても素っ気ない口調になってしまうことを自分自身諌めつつもそうオリビアが返すと、ルーサーは気にした風でもなく階段を降りて行った。


この想いはどうやら全く伝わっていないらしく、残りわずかな時間を少しでも一緒に過ごしたいのに憎まれ口を叩いてしまったことを猛烈に後悔したオリビアは、戸棚に近寄ってそこから数本のボトルを取り出した。


「おい、それは俺の…」


「これいいお酒なんでしょ?今日は付き合って!」


「…自棄酒か?」


ルーサーと同じ真っ青な瞳が射抜いてきた。

目つきは違うがやはり兄弟だと思わせる顔立ちのジェラールが近付いて来て、目の前に立った。


つい硬直してしまったオリビアが気を奮い立たせるために顔を上げてジェラールを睨みつけると、ジェラールは何も言わずにオリビアの腕からボトルを奪い取ってテーブルに置いた。


「俺は酒に強い。明日二日酔いになっても知らないからな」


「!付き合ってくれるの?ありがとう…。お酒でも飲まなきゃ今夜は眠れそうにないから」


――本当は酒などほとんど飲んだことがない。

父たちに強く止められていたので舌で舐め取る程度しか飲んでいなかったが、今日は無礼講と決めていた。


「お前酒癖が悪そうだよな」


「失礼ね、酔っぱらったりしないわよ。はしたない」


そう返したが、もちろん強がりだった。
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