冷たいアナタの愛し方
ルーサーの口からとんでもないことを聞いてしまった気がしたジェラールは、前のめりになって目を丸くした。


「お前…本気で言ってるのか?それ…二股ってことだぞ…?」


「わかってるよ、だって両方可愛いから仕方ないよね。ま、成長したオリビアを僕は知らないけど絶対可愛くなってるはずだし」


唖然としてしまったジェラールは、普段身持ちが固くて女遊びをしているのを見たことがないルーサーから出た発言とは信じられずに絶句。


だがルーサーは平然とした顔で本棚から本を取り出してぱらぱら捲りながらジェラールと目を合わせることはなかった。


「だから君がどっちを選ぶかどうかは僕にとって結構重要なことだよ。で、どっちなの?そろそろ決めてもらわないと、僕から行動を起こすよ」


「……オリビアと会ってあら決める」


「それはまた先の長い話というかなんというか…。まあいっか、僕は余り物でいいから。それだけは覚えておいて」


あくまで目を合わせないルーサーの態度に業を煮やして腰を上げかけた時、ドアをノックする音がしてはっと顔を上げた。


「あの…コーヒーを淹れてきたの。多分美味しくできたと思うから飲まない」


「ああうん、頂くよ、入っておいで」


怖ず怖ずと部屋に入ってきたオリビアが未だにリヴィという別人だと信じ切っているジェラールは、ぷいっと顔を背けて目の前のテーブルを指した。


「そこに置け」


「うるさいわねいちいち指図しないで。ジェラール坊ちゃんの分はたっぷりお砂糖入れておいたから。そんな顔して甘党なんて笑っちゃうわね」


「……」


相変わらずの憎まれ口を叩かれて閉口すると、ルーサーがぷっと吹き出す。

本を閉じて本棚に戻すと、オリビアの膨れている頬をつんと指してソファに座った。


「さてコーヒーでも飲みながらレイドの対策を講じようか」


三つ巴状態であることを知らないのは、オリビアだけだった。
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