冷たいアナタの愛し方
足元にじゃれついていたシルバーという名の狼の子供が真っ直ぐな金褐色の長い髪の女の子の足元にまとわりつく。

ルーサーとジェラールは身なりの良さそうな白いドレスを着ている女の子が危険な存在でないことがわかると、警戒を解いてさらにじっくり眺めた。


女の子がひとりで出歩けるような平和な国――母国とはまるで違う。


「あなたたちは…だあれ?そのマント…旅の人?」


「僕たちはここに観光に来たんだ。で…君は?」


ルーサーが問いかけると、女の子は無邪気な笑顔を見せてシルバーを抱き上げた。


「私はオリビア。あなたたちは?」


「えーと…実は少し有名な名家の者だから名前はちょっと。でも悪い人間じゃないから。信じて…もらえるかな」


「うん、この国には悪い人は入れないから信じてるよ。じゃあ…優しい人と怖い人って分けて呼ぶね。怖い人の方は全然喋んないね」


怖い人、とあだ名をつけられたジェラールは、射抜くような真っ青な瞳でオリビアを睨んだ。

普通なら身も竦むような眼光だったはずなのに、オリビアはまっすぐ見返して、さらに言ってのけた。


「垂れ目」


「……お前こそ金と茶のまだらな髪しやがって。がりがり」


「こ、こらこら、小さな女の子相手にむきにならないで。で、オリビアはひとりで何をしてるの?」


「この子と遊んでたの。今日は私の8歳の誕生日なんだよ。ねえ一緒に祝ってくれる?サンドウィッチやクッキーもあるの。一緒に食べようよ」


「俺、宿に戻る」


ジェラールは身を翻してその場から立ち去ろうとしたが、オリビアにマントをくいっと引かれて首を傷めそうになった。


「何する、離せよ」


「垂れ目だから睨まれても怖くないもん。シャンパンもあるの。子供用だけど。旅人さん、面白い話を聞かせて下さいな」


泣く子も黙るジェラールの眼光に怖気づくことのない小さくて可愛い女の子。

ジェラールとルーサーは顔を見合わせて、呆れながらふっと小さく笑った。
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