冷たいアナタの愛し方
じっと見つめていると、また鼻をきゅんきゅん鳴らしたのでつい笑みを零したオリビアは、シルバーの頭を抱いて使命を口にした。


「お前はローレンに戻ってお父様たちを見つけて。ローレンから脱出していたらそれでいいの。お前のことを知っている人たちが沢山居るから私が戻るまでみんなの傍に。あと…」


ガゼルに続いて中からルーサーが出て来た。

オリビアに気圧されてついガレリア行きを許してしまったが、やはり危険な目には遭わせることはできないと訂正しに出て来たのだが――


「垂れ目で怖い人を覚えてる?あの人が居たら捜して。匂いを覚えてるでしょ?お前は何故かあの人にとても懐いてたもの。もし困っていたら助けてあげて」


「きゅぅん……うゎん」


小さく返事をしたシルバーとはこれからしばらく会うことはできないだろう。

シルバーの気が済むまで背中に乗ってあげて、一緒に遊んであげて、今夜は一緒に寝て――天狼という神聖な獣であるシルバーに使命を与えたオリビアは、ぽかんとしたルーサーを見上げて首を傾げた。


「?どうしたの?」


「君は垂れ目くんのことを嫌ってると思ってたから…。だけど彼は恐らくガレリアに戻ってるから大丈夫だよ」


「万が一のことを言ってるの。ね、シルバー。お願いよ」


大きな天狼を従えて微笑むオリビアは女神のように美しく、思わず見惚れたルーサーとガゼルの呆けた姿に爆笑したエイダは笑い過ぎて目尻に溜まった涙を拭いながら部屋の中へと促した。


「話が済んだのなら中に入りな。あんたは恐ろしい娘だよほんとに。大勢の男を手玉に取るのも時間の問題だね」


「だ、誰が手玉に取られたって!?こんな口の悪いガキ誰が相手にすっかよ」


「私もあなたなんて願い下げよ。私の理想は高いんだから」


また睨み合っているオリビアの肩にぽんと手を置いたルーサーは、シルバーの頭にもぽんと手を置いて小さな声で話しかけた。


「頼んだよ、シルバー」


「……ゎん」


どうか最悪のシナリオにはなりませんように――
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