冷たいアナタの愛し方
その日はオリビアが疲れ果ててしまうまでシルバーの遊びに付き合った。

背中に沢山乗って、シルバーが狩ってきた獣を一緒に食べて、思う存分甘えさせた結果――オリビアが欠伸をした時、シルバーは客室に率先して入って行くとベッドに上がってまん丸になってオリビアを見つめた。


「寝ろっていうの?甘えん坊さん」


「僕たちはもう少し起きているからもう寝ていいよ。オリビア…何度も言うようだけど…」


「うん、色々な覚悟はできてるから。不当な扱いをされても大丈夫よ、我慢するわ。私は私を養女にしてくれたお父様たちに義理と御恩があるの。生きているなら絶対救い出さなくちゃ」


「…わかった。君は強い子だね」


ルーサーが微笑むと、オリビアはぱっと俯いて耳を赤くしていた。

どうしたのかと思ったルーサーはドアを閉めて密室にすると、腕を組んでドアに寄りかかる。


「どうしたの?」


「う、ううん、なんでもない。…ルーサーにはその…付き合ってる人とかいるの?お、王子様だったら居るわよね、ごめんなさい変なこと聞いたわ」


「…僕は王子といっても身分が低いし王位継承権は与えられていないから。ちなみに付き合ってる人は居ません」


おどけて肩を竦めてみせたルーサーがお休み、と声をかけて部屋を出て行く。

オリビアはシルバーのふかふかのお腹に飛び付いて顔を埋めると、耳まで真っ赤にして頭をぐりぐり押し付けた。


「私との約束…覚えてないのかな。きっと覚えてないよね。あんなの…冗談だよね。冗談…」


自分で言って悲しくなる。

何せオリビアの初恋は7年前に会った時に一目惚れしたルーサーその人。


シルバーの緩やかな腹の起伏にまどろみつつ、手を口元に持っていくとぺろぺろ舐められた。


「危ないことはしちゃ駄目よ…。私はガレリアに行くからお前はローレンで待っていて。お父様たちか垂れ目で怖い人と一緒に居るのよ。シルバー…絶対に死なないでね」


「…きゅぅん……」


――気が付けば眠ってしまっていた。

そっとドアを開けてオリビアを確認したガゼルとシルバーは、ドアを閉めてソファに座ると今後の態勢を明かし合った。


「僕はガレリアに。君は?」


「これをやるから何かあった時は空に向かって吹け。俺の騎獣の角で作った角笛だ。遠くからでも必ず聞こえる」


オリビアには何かある。

ガゼルはそれを感じ、また死んてほしくないと思い、宝物をルーサーに託した。
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