冷たいアナタの愛し方
何者だと言われても…自分はただの王女だし、それも偽物の身分。

どこで生まれたのかも知らないし、自分が選ばれたのは父と同じ金茶の珍しい髪の色だったからだろうと自己完結している。

“何故?どこで?”という質問は父たちを煩わせるだけだと知っていたのでそれを口にしたこともないし、しようと思ったこともない。


「私はただの女の子。本当の子供じゃないのに私のせいでお父様たちを危険な目に遭わせてしまって…だからお父様たちが生きているのか、どこに居るのかわかるまで納得しないわ。ああよかった…綺麗に染まった…」


金と茶の入り混じった珍しい髪の色は落ち着いたアッシュブラウンになり、オリビアの印象を少し変えたが――かなり綺麗な女の子に変わりはない。

ガレリアは男尊女卑の気がある国なのでそれもまた心配だったが…オリビアの気性ならなんとかなるかもしれないと思わせる程口が悪い。


「ちょっと早く出て行かないとぶつよ。女の子の肌をじろじろ見るんじゃないよこのスケベ」


「な…!み、見てねえよ!こんな口の悪い女の肌なんか見たって興奮しねえっつーの!」


捨て台詞を吐いてバスルームを出ると、ルーサーはシルバーに身体を擦りつけられてマーキングされていた。

ルーサーが味方だとわかっていてのマーキングだったが、ガゼルにそれをするようなそぶりはない。

何度もオリビアの文句を言われて頭にきているのか、ガゼルと目が合うとぷいっと顔を逸らしてすました顔でおすわりをした。


「お前も主に似て可愛くねえのな」


「お待たせ。ルーサー…この色…どう?」


エイダから借りた白いローブを羽織ったオリビアが戻って来ると、ルーサーは腰に剣を吊るしながら落ち着いた色合いになった髪を見て微笑んだ。


「うん、よく似合ってる。これでなんとか誤魔化せるかもしれないけど目立った行動はしないようにね」


「あなたの立場が悪くなるようなことはしないわ。行きましょうか。シルバー、おいで」


シルバーがオリビアの左隣にぴったり寄り添い、一同は家を出ていっときの別れを惜しむ。


「私が言ったことを忘れないでね、シルバー。絶対また会えるから」


「……ゎん」


「行こうか。じゃあガゼル…」


「面白そうだから何か困ったら力になってやる。あれを無くすなよ」


1頭の馬に2人乗りをして蛮族の巣を出た。

シルバーはオリビアが見えなくなるまで見送り、ローレンへと駆けて行った。
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