冷たいアナタの愛し方
「なに?シルバーが何者かを乗せてローレンを出て行った…!?」


街を巡回していた兵からそんな報告を受けてまさかと思ったへスターは真っ先に医務室へ向かった。

ドアの前に立っていた近衛兵を押しのけて中へ入ると、眠っているはずの男…ジェラールは居ない。

荷物もなく、薬棚は空っぽだし、目が覚めた時にと用意していた食料も一緒に消えていた。


「シルバーが生きていた…!ということはオリビアも生きているということだな?しかし何故あの男を…?」


シルバーはオリビアの命令しか聞かないので勝手に動いたりオリビア以外の者に命令されて従うことはない。

やはりあの男とオリビアには何か接点がある――

しかも何か理由があってここに現れずにシルバーだけを寄越してきた…


オリビアが何らかの意志を持って動いている気がした。


「あなた…レイドにこのことを伝えてみては…」


「…いや、彼にはオリビアの行方だけを捜してもらおう。私たちがあの子のしようとしていることに干渉してはいけない。アンナ…やはりあの子は世界を総べるべく力を持っている子なんだよ。とうとう…動き出してしまった」


自分は養女だからと帝王学を受けることを拒んだオリビア。

その代わり伸び伸びと育って、悪戯を沢山して、普通の女の子と変わりなく戦と関わりなく今まで生きてきたというのに――


「女の子が剣なんて…やっぱり私はいやだわ…」


「覇王剣を人前に出してはいけないと散々言い聞かせてきたのだからそれはないと思おう。あの子にはきっと天のご加護がある。私たちは邪魔をせず、あの子が帰って来るのを待とうじゃないか」


ただの女の子として生きるか、それとも何かを変えるために立ち上がるか――


それは全て、オリビア次第。
< 56 / 187 >

この作品をシェア

pagetop