冷たいアナタの愛し方
エスドラド大陸は荒廃した土地だ。

かつては火山群が連なり、何度も大噴火を起こした結果、大地は土石流やマグマに舐められて大きな岩がごろごろ転がっている。

そんな中でも火山岩の隙間から緑が芽吹き、草原地帯が広がる場所もあるが…大抵は旅人たちが踏みしめてならした道が、村や街を繋ぐ唯一のルートとなっている。

そこから外れるとたちまち魔獣や魔物に襲われて命を落としてしまう者も多く、細くて歩きにくい道とは言えない道をオリビアはルーサーと共に馬で駆けていた。


「ガレリアは遠いの?」


「そんなに遠くはないよ、あと数時間ってところかな。途中村がひとつあるからそこに寄って行こうか。疲れたでしょ」


「疲れてないからこのままガレリアに行きましょう。ウェルシュは…もう着いてるんでしょ?どんな男?」


心を許しているのか、後ろに騎乗しているルーサーに身体を預けて尋ねてきたオリビアのやわらかい身体についときめいてしまったルーサーは、なるべくそのことを考えないようにしながら辺りを警戒して早口でウェルシュの特徴をまくし立てた。


「背はそんなに高くなくて横に広がってるよ。例えるなら…酒樽に似てるかな」


「え!?でも…ルーサーや垂れ目で怖い人のお兄さんでしょ?似てないの?」


「うん、似てないね。でも悪知恵なら誰よりも働く卑怯者なんだ。垂れ目くんはそれでとても苦労してる」


「へえ…。ガレリアで会えるかな。ローレンに留まってるのならシルバーに会えると思うけど…」


時折山のように大きな火山岩から顔を出している魔物や木の影に隠れている魔獣の姿が見え隠れし始めた。

こうして旅人を狙って襲えば難なく食べ物にありつけると知っている彼らは賢くて知恵が回る。


オリビアは武器を持っていないので次の村に着くまでの護身用にと脚に巻き付けていた革製のホルダーから短剣を抜くと、オリビアに持たせた。


「油断しないで。辺りを魔物たちが徘徊してるから」


「大丈夫よ、私、剣の筋はいいの。あなたにだって勝てるかも」


「頼もしいなあ。頼りにしてるよ」


不敵に笑んだオリビアにまたどきっとしつつ、馬を急がせた。
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