冷たいアナタの愛し方
荒野にぽつんとある村は、100人程度の住民と十数人の自警団が魔物や魔獣から村を守っていた。

主に農作物を栽培して成り立っていたが、驚くことに――街もかくやというほどの武器屋が一件あった。

鋭く研ぎ澄まされた短剣や長剣が所狭しと床やガラスケースに並べられてあり、中には魔法がかけられた珍しい剣もあったが――値段が法外で手が出せそうにない。


「私にはリヴィがあるから必要ないかな」


「でもあれは出しちゃいけないからとりあえずは長剣を買おう。彼女にも扱えそうな長剣を見せてくれ」


――オリビアははたから見るとお嬢様という感じで剣を握ればその重さですぐ床に落としてしまいそうなほどの細腕だ。

しかもとても可愛らしく、正面からオリビアの金茶の瞳を直接見てしまった若い男の武器屋の主人はルーサーに売りつけようとしていた銘入りの名剣を床に落として派手な音を立ててしまった。


「あの…失礼ですが…この女性が剣を?」


「何かおかしい?私が弱そうに見えるから?」


大人しくしていればいいのに武器屋の主人に食ってかかったオリビアの肩に手を置いて窘めたルーサーは、真っ青になった武器屋の主人にガラスケースの鍵を開けてもらうと長剣の中でも少し小ぶりの剣を出して見せてもらった。


「これなんかどうかな。ちょっとリヴィに似てるよね」


「うん、でもこれ…高いけど…大丈夫?」


「大丈夫だよ、これでも一応王子様だから」


柄の真ん中には恐らく何の効果もない金色の石が嵌められてあり、柄を握るとリヴィとは違ってずっしり重かったが、何度か振り回してみて満足すると、鞘に収めてにこっと笑った。


「じゃあ、ありがたく頂きます。もし襲われたら前方は私に任せて後方はあなたにお願いしてもいい?」


「じゃじゃ馬なお姫様だなあ、それでいいよ。じゃあ少し食事してから行こうか」


「なんか…で、デートみたいね」


ぽっと頬を赤く染めたオリビアの頭にぽんを手を置いたルーサーは、オリビアのことを妹のように思いつつ、また特別な女の子のように思いつつ、武器屋を出た。
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