冷たいアナタの愛し方
騎獣に乗った人は見たことがあるが…銀色の大きな獣に乗った人は見たことがない――


オリビアたちから遅れて数時間後、同じ村にやって来たジェラールは短い息を吐きながら冷や汗を拭い、シルバーから降りた。

ただ乗っていただけなのに痛みが全身を襲って意識を保つことができないでいた。

食料や薬を入れていた麻布のリュックから何錠もの鎮痛剤を取り出して奥歯で噛み潰したジェラールは満身創痍で、魔物とみなされてにじり寄って来る自警団にシルバーが安全であることをリーダーらしき男に訴えた。


「これは魔物じゃない。俺が預かっている犬だ」


「しかしこの大きさは犬では…」


「うゎん」


シルバー自らも安全であることを示すために尻尾を揺らして伏せをする。

ジェラールは痛む傷口を押さえながら、小さな村を霞む目できょろりと見回した。


「ここに…珍しい髪の色の女が来なかったか?金と茶色の…」


「いや、見ていないが…ガレリアの軍人らしき男なら来た。武器屋に寄って、奴隷らしき薄汚れた若い女を連れて北へ向かったからガレリアに戻ったと思う」


「…奴隷…?男はどんな感じだった?俺に似ていたか?」


「そういえば目元とか似てたと思う。垂れ目だった。…あ、おい!」


話の途中にジェラールが膝から崩れ落ちて気を失った。

まだ動ける状態ではないのに無茶をしてここまで連れて来てしまったシルバーは、ジェラールの身体の下に身体を潜らせて持ち上げると、リーダーの男をじっと見つめる。


「よ、よしわかった、宿屋で休ませよう」


――オリビアの匂いがする…まだ近くに居る。

それだけで嬉しくなったシルバーは、長くてふかふかの尻尾をゆさゆさ揺らしながら上機嫌な足取りで宿屋に向かった。
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