冷たいアナタの愛し方
ガレリア城は緩やかな丘陵の上に建っている。

地面は煉瓦を綺麗に敷き詰められていて歩きやすく、建物も煉瓦造りで頑丈に作られているのは、他国に攻められても耐えられるように。

また跳ね橋が多いのも、城に攻め込まれないようにするための処世術だ。

街のあちこちからは真っ白な煙が立ち上り、武器の生産・輸出で莫大な財を築くガレリアは誰もが認める軍事国家として恐れられていた。


「うわ…おっきい…」


「でも温か味も面白味もない所でしょ。こんな所に長く住むと頭がおかしくなっちゃうよ」


「そうね、ローレンはすごく自然が豊かな所だったから…」


フードを目深に被らせたオリビアを馬の前に乗せて帰還したルーサーは、通りを進む度に住人たちから頭を下げられて笑顔で応えながらも冷めた瞳をしていた。


オリビアを奴隷として潜り込ませるのはそう難しいことではないが――一応お嬢様として育ったオリビアが冷たい水で皿洗いをしたり家畜の世話をしたりできるのだろうかという心配もある。


それを再三オリビアに伝えたのだが本人は不安になることもなく、へえと相槌を打って笑っていた。


「じゃあオリビア…君は少し黙っていて。反論とかしちゃ駄目だからね」


「うん、頑張るわ」


街と城とを繋いでいる跳ね橋を渡り、門番の男たちが駆け寄ってくる。


「ルーサー様!先程ウェルシュ様が戻られて…そちらは?」


「知ってるよ。ああこれは…ローレンから連れてきた奴隷なんだ。最近ウェルシュが幅を利かせてから奴隷が脱走したり死んだりしてるから補充にと思ってね」


「そうですか…ではどうぞお入りください」


難なく城に入ることができた。

オリビアは灰をさらに頬に擦りつけてみすぼらしく見せながら馬を降りると、うなだれたままルーサーの後ろを歩いて城内へ入った。
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