冷たいアナタの愛し方
王族たちの居住スペースはガレリア城の最上階にあった。

だがそれぞれが離宮を持っているので彼らが一堂に集まる時といえば食事の時だけ。

後は離宮に戻り、それぞれ好きな時間を過ごす――

オリビアはガレリア城のむき出しの石畳な地下に連れて行かれると、キッチンや馬房、家畜小屋などを案内された後に、牢屋のような小屋のような…奴隷の居住区の前で立ち止まった。

そこは同じような部屋が連なり、入り口から窓まで5歩程しかなく、ランプとベッドがひとつだけある粗末な部屋。

窓はあるが地下なので明かりは無い。

きょろりと部屋を見回したオリビアは、落胆することなくベッドに座ってみると、固かったがちゃんと眠れそうなので口角を上げてルーサーに笑みを向けた。


「こんな所に押し込めるのか?それはちょっと可哀そうなんじゃ…」


「奴隷は皆ここで暮らしておりますので例外はありません。女、名前は?」


ハーマンに名を聞かれたオリビアは、少し考えた後小さな声で呟いた。


「………リヴィ」


「リヴィ、か。お前がいい働きをすればルーサー様がおっしゃるように専属の奴隷として少しいい部屋に移れたり食事も少しいいものに変わったりできる。よく働け」


「はい」


「ハーマン、僕の離宮なんだけど…少し散らかしてるんだ。早速リヴィを借りてもいいかな」


「…ルーサー様、奴隷などに手を出してはいけませんぞ。あなたにいくら王位継承権がないとはいえ…」


「大丈夫だってば。リヴィ、こちらへ」


大人しくルーサーの後をついて部屋を出たオリビアは、背中にハーマンのため息を聞きながら小さな声でルーサーに声をかける。


「思ったより綺麗で良かったわ。ウェルシュにはいつごろ会えそう?」


「どうだろう、あいつは用心深いから最初は会えないかも。オリビア…様子を見に来るから何か不安なことがあればすぐに言ってね」


「ありがとう、ルーサー」


ルーサーが居てくれれば不安も最小で済む。

オリビアは俄然やる気でいた。
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