冷たいアナタの愛し方
氷水を部屋に運び込んだオリビアは、ジェラールの身体が燃えるように熱くて高熱が出ていたので、タオルで額を拭いてやりながら、クローゼットを開けて着替えの用意をしているルーサーに怖ず怖ずと声をかけた。


「あ、あの…ルーサー…」


「うん、どうしたの?」


手を止めたルーサーが顔だけひょっこり見せると、オリビアはタオルを握りしめて頬を赤くしながら眠っているジェラールを指した。


「着替える前に身体を拭いてもらってもいい?きっとすっきりすると思うし汗をかいてるみたいだし…」


「僕今手が離せないから拭いてやってくれると助かるんだけど」


「で、でも…私…男の人の身体触ったことないし…」


…強気で毒舌なオリビアだが初な一面もあり、おどおどしてジェラールとルーサーを交互に見ているオリビアの手からタオルを受け取ると、わざと意地悪げににっこり笑った見せた。


「じゃあ1度だけお手本を見せるから、次からはオリビアがやってあげてね」


「な…なんで私が…」


「男にされるより可愛い女の子に介抱された方がジェラールも喜ぶと思うし。僕ならそうだけどな」


すりすりと身体を擦りつけてくるシルバーの背中を撫でてやりつつも唇を尖らせたオリビアは、ルーサーの頼みならばとぐっと堪えててきぱきとジェラールの身体を拭いている様子をつぶさに観察する。


「ひどい傷だけど、誰かに助けてもらったんだろうね。シルバー、お前なら誰か知ってるのかな」


「くふっ。ゎん」


「喋れたらいいのにね。ねえ、ジェラールとどこで出会ったの?」


――ローレンの王宮で。

そう目で訴えかけたがオリビアは気付かず、気が済むまで撫で回してくれる。

とりあえずはジェラールが起きるまで傍に居ようと決めたシルバーだった。
< 82 / 187 >

この作品をシェア

pagetop