冷たいアナタの愛し方
「じゃあ僕がサラダを作るからオリビアはスープを作ってくれる?胃に優しそうなやつ」


ジェラールのために食事を作ってやろうとしていたルーサーは助っ人の登場に協力を頼んだが…当のオリビアは固まった表情で目を泳がせていた。


「どうしたの?」


「あの…私…料理が苦手なの。レティにも料理は任せられないって言われて…」


「へえ、意外と不器用なんだね。じゃあ料理の上手な男と結婚しないとね。サラダは作れる?野菜を適当に千切ってドレッシングかけるだけだから任せてもいい?」


「それ位なら…」


ルーサーは気配りが上手だ。

優しいしかっこいいし気配りもできるし…申し分なさすぎてもはや後光が差して見える。

フライパンを手に手際よく片手で卵を割ったりしている姿をちらちら盗み見しつつなんとかサラダを完成させたオリビアは、それらを持って2階に行こうとしたルーサーを見送ってキッチンの掃除を始めようとタオルを手にした。


「どうしたの、一緒に行こうよ」


「でも…私がオリビアだって気付かなかったわ。私だって今のジェラールは髪の色が違うしルーサーに教えてもらわなかったら気付かなかったかも」


「気づくまで正体を明かさないっていうのはいいんじゃないの?うん、面白いよ、いつ気付くか検証してみようよ」


…優しいけれど意外と悪戯っ子な一面を見せるルーサーにまたきゅんとしてしまったオリビアは、ルーサーからスープ皿を受け取って慎重に階段を上がり、シルバーにドアを開けてもらった。


「朝食よ。食べて」


「…どこの誰が作ったかわからないものは食わない」


「大半は僕が作ったから大丈夫だよ。傷はどう?」


身体を起こしていたが顔をしかめて腹部を押さえているジェラールをソファに座って遠巻きに観察しようとすると、さらに怒られた。


「そのソファに座るな」


「昨日はここで寝ちゃったのよ。座るくらい何よ」


「…なんだこの奴隷は。全然言うことを聞かないじゃないか」


「ああまあ…彼女は例外。面白いでしょ?毒を吐くと吐き返されるよ」


どっかりとソファに座ってジェラールの顔を不機嫌に染めさせたオリビアは、7年前と変わらないジェラールの態度に鼻を鳴らす。


「…ぜんっぜん変わってないわ」
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