冷たいアナタの愛し方
ルーサーと共にまた離宮に戻りつつ、オリビアはようやく視線を上げてルーサーのシャツの袖を握って引き留めた。


「あの…私…自分の部屋に戻らなくていいの?」


「いいんじゃないかな、さっきウェルシュに君がジェラール付きの奴隷になったって言ってあるし」


「…え!?私がジェラールの!?なんで…どうして…あなた付きの奴隷ならともかく…」


「僕は最初からそのつもりだったよ。ジェラールは難しい性格で、身の回りの世話をしてくれる専属の奴隷が居ないんだ。僕はそういうの好きじゃないから居ないけど」


唖然呆然としたオリビアがぽかんとしていると、ルーサーはオリビアの肩を抱いて芝生を踏みしめる。

こういう反応をするのではないかと思っていたが、思っていたよりも嬉しいもので――それをオリビアに気付かれないように気にも留めていないふりをしてジェラールの離宮の鍵を取り出して開錠すると中へと入る。


「ジェラール付きって…何をすればいいの…?」


「えーと、例えば服の準備をしてあげたり着せてあげたり、食事の世話とか準備とか掃除とか…数えきれないよ」


「私そんなに器用じゃないのよ。それにあんな頭ごなしに命令されるのも好きじゃないし…」


「じゃあジェラールに直接ご両親の話を聞いて、君も身分を明かして奴隷という立場から解放されるといいよ。また会えなくなるのは悲しいし残念だけど…」


真向かいに立ってじっと見下ろしてくるルーサーの青い瞳に吸い込まれそうになって身体が前のめりに傾くと、ルーサーはオリビアの手首を握ってソファに誘導すると座らせた。


「元々君が奴隷になるなんて反対だったんだ。君がオリビアだとわかればジェラールの態度も軟化するかもしれないし」


「今の私に気付かなかったんだもの、いやよ。私お皿を洗って片づけてくる」


突っぱねるオリビアの態度も軟化しそうにない。

扱いの難しいジェラールとオリビアとの仲をどう取り持とうか頭を悩ませたルーサーは、とりあえず2階へと向かった。
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