「同じ空の下で…」
第19章 逢瀬
■第19章 逢瀬




時を重ねた分だけ、会いたい気持ちが募っていく。

「あの海へ…、行こうな。」

「うん、行こう。…約束だよ。」

目を静かに閉じ、瞬と初めてキスをしたあの朝の光景を…

脳裏に焼きついた美しい情景を…

涙したあの瞬間の風景を…脳裏に蘇らせる。

そして密かに、彼とキスを交わした時の事を思い出してみる。

それと同時に、自らの内に秘めている…ときめきに似た胸の高鳴りを覚える。


「今宵も、いい夢が見れそうだな…」

「うん、私も、きっと…ぐっすり寝れるような気がする。」

「そろそろ、寝るかな。」

そういう電話の向こう側で、瞬がふぁ~っとあくびをする声が聞こえた。

「うん。色々思う事もあるだろうけど…元気出してね。」

「…おう。…ありがとう、艶香。」

「私には…こんな事しか言えないけど…。」

「…充分だ。精神的に、少し楽になったって言うか…」

「…役に立ってるんだね。」

「充分すぎる位、俺の励みになってる。」

「良かった。」

「…じゃあ、また、電話するよ。」

「うん。またね。」

「Good day,Tsuyaka.」

「Good day,Shun.」

そう答えた数秒後、私の耳には無機質な電子音が聞こえた。

すかさず、私も通話終了ボタンをタップする。
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