「同じ空の下で…」

「…今、返事しなきゃ、また言ってくれるの…?」

「さぁ、艶香次第。…どっち?俺も、心臓持たない…。何度も言う勇気なんて持ち合わせてないし…。あ~…呼吸困難になりそ…。」

言われてみれば、自分の心臓の速さが妙に早い事には気付いていたけど…瞬の心臓だって、かなりの速さで私に伝わっていた。



「…このまま、瞬に死なれたら困るから…」


「…困るから?」





「…瞬と一緒に行きます。どんな瞬の傍でも…笑顔で居ようと…思います。瞬の傍に居させて下さい、この先、ずっと…」


「いい子だ、艶香。そうこなくっちゃ♪」


そして、どちらともなく、呼吸困難になりそうな程のキスをした。



私達がこの場所でするキスは、


新しい自分の為のキスなんだから。


新しい、私達の為の…キスなんだ。





始まりかけていた恋の事など、どこふく風。

後ろめたい感情がこの心の中に生まれてしまっていた事実は、奥底にしまおう。

瞬の代わりになんてどこにも居ない。

瞬より最愛の人に出会えるなんて、この先、きっと無い。



こんなドキドキは、もう与えてくれる人は居ないだろう。



モノクロに写る景色を生きるのは、もう真っ平だ。
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