「同じ空の下で…」

・・・・そんな展開になってしまい、結局タケルの車に乗っけられて、また互いの両親に会い、証人欄に記名して貰ってやっとの事で、私と瞬は婚姻届を出す事が出来た。

役所に再び着いた頃には、すっかりとっぷり日が暮れかけて、薄暗い夜闇が迫っていた。

あれやこれやと不備・不届があれど・・・・

「受理しましたっ♪」

確認作業を終え、顔を上げると、満面の笑みで私たちを見た。

タケルが係の人にその届を渡す。



呆気ないような、変な感じだった。

実感が、湧かない。

盛大にこの後にセレモニーでもあれば、実感が湧くんだろうけど…。



「岡崎 艶香。」

タケルに呼ばれて、やっと少し実感が湧く。

「…なんか、慣れないな。」

頬を染めて、私は照れを隠すようにしながら、俯いた。

「はなぶさ…の方がなんかやっぱり、しっくり来てたな。」

瞬が、私の頭をくしゃくしゃにしながら、言う。

「これから、艶香の事、妻とかって呼ばなきゃいけないんだな。Wife….あ、ジェームスにも連絡しなきゃ。」

瞬は、私をその場に取り残し、電話を掛け始めた。

横に居るタケルは、その瞬の様子を見ながら私に言った。


「おめでとう、艶香。お幸せに♪」

「ありがとう、タケル。これからも…宜しくね。」






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