「同じ空の下で…」
「ゆーみー!こっちこっち」

「あ、お待たせしましたぁ」

ザワザワと騒がしい居酒屋に足を踏み入れると

由美の友達の男数人のグループが由美に向かって手をあげ、合図した。

金髪に近い由美のカールが効いたヘアーからは彼女のイメージにぴったりな
柔らかなローズの香りがする。

人目をひく由美の後ろを、距離をとりながらヒョコヒョコとついて行く、私。

『引き立て役』

と言う言葉がまさに、ぴったりであろう光景。



「こんばんは…」

「はじめまして。あ、適当に座って座って。あ、由美、何飲む?あ、それと…由美のツレの…………?」


………ツレっ?!


ま、いい……

あたし、引き立て役だもの。

「申し遅れました、英 艶香デス」

「わりぃ、わりぃ、そういえば、名前、由美から聞いて居た気がする…。で、はなちゃん、何飲む?」


…………ハナチャン。…………デスカ…。

「じゃ、ビールで…。」

「じゃあ、あたし、ウーロンハイね、瞬。」

「了解~。スイマセーン………」


その男、瞬は手をあげ店員を呼ぶと、注文をしてくれた。



< 9 / 646 >

この作品をシェア

pagetop