この恋は、絶対に秘密!
「ですが、その頃から次第に私達の仲はギクシャクし始めて、彼はその縁談をした女性と交際をするようになったのです」

「女の人と?」

「えぇ、彼はバイセクシャルでしたから」



汐美さんはさらりと言うけれど、それも私には衝撃的だ。

男女どちらとも…なんて、そういう人の話を身近に感じることはまずないと思っていたから。



「じゃあ、それからは……?」

「結局私が身を引いて、別れてそれっきりですわ。彼の将来を考えれば、女性と普通の結婚をした方が幸せになれることは十分わかっていましたから」



汐美さんは紅茶に少し口を付け、どこか遠くに視線をさ迷わせながら切なげに微笑む。



「でも、今でも時々想うことがあるのです。あの時、自分の気持ちを留めずに思うままに進んでいたらどうなっていたか……って」


< 136 / 387 >

この作品をシェア

pagetop