この恋は、絶対に秘密!
気になる一言に箸を止めて知恵美ちゃんを見やると、彼女は腕組みをして椅子の背もたれにどっかりと背中を預けている。



「課長と専務が話してたのを偶然聞いちゃったんだけどさ、スーパーと新規契約してお弁当を作ることになりそうなのよね」

「あぁ……そう言えばこの前、スミヤの販売促進部の人から電話があったよ」



そう言って、岬さんが複雑な表情をしていたことを思い出す。

知恵美ちゃんは頷きながら人差し指を立てた。



「そう、スミヤね!なんかそれ以来課長がピリピリしてることが多い気がしてさ。かと思えば何か悩んでるみたいに元気ない時もあるし……なんか気持ち悪い」

「“気持ち悪い”は余計でしょ」



眉をひそめる知恵美ちゃんに私は苦笑いを返した。

でも……その岬さんの様子はやっぱり気になる。


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