この恋は、絶対に秘密!
とっても嬉しそうな顔をする専務に対して、岬さんは愛想笑いを返す。



「すみません、せっかくなんですが今日はこれで帰らせてもらいます」

「なんだ、つれないなぁ。……もしかして彼女でも出来たか?」



残念そうに、でも怪しげに声をひそめて尋ねる専務だけれど、耳をそばだてていた私にはばっちり聞こえた。

岬さんはほんの少し苦笑を浮かべると、当然ながら「違いますよ」と答える。



「……でも、猫が待ってるんで」



彼のその一言に、私の胸はドキンと音を立てた。



「は? 猫?」



意味がわからない、という顔をする専務に、岬さんは「お疲れ様でした」と言って颯爽と事務所を出ていってしまったのだった。


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