この恋は、絶対に秘密!
「全部……俺のせいなんだ。時間を戻せたらいいのにな」



……岬さんの表情は変わらないままだけれど、私には彼がとても重くて苦しい何かを背負っているように思えた。

きっと、元奥さんとのことを後悔しているに違いない。


その見えない鉛に押し潰されてしまいそうで、もっと詳しいことを聞きたかったけれど、それは躊躇われた。



「……今帰ってきたの?」



私も口を閉ざしていると、岬さんは空気を変えるように優しい口調でそう問い掛けてきた。



「はい、起こしちゃってすみませんでした……」

「いや……俺の方こそごめん」



彼はテーブルの上に置いてあったコップを手に取り、おもむろに立ち上がる。

そしてソファーの横に座り込んでいた私の頭にそっと手を乗せ、「おやすみ」と言ってキッチンへ向かっていった。


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