この恋は、絶対に秘密!
「……絵瑠、ちゃん?」



そしてもう片方の手を、神妙な顔で私を見下ろす彼の肩に掛ける。



「これでも……忘れられませんか?」



私は思いきって彼を自分に引き寄せ──唇を重ねた。

この間みたいな一瞬だけのキスじゃなく、しっかりと唇を押し付ける。


息を止めていたせいで少し苦しくなって離れると、開いた目には驚いた表情の岬さんが映った。



「今だけ……今夜だけは、全部忘れてください。
辛いことも、難しいことも何も考えないで……私だけを見てくれませんか?」



声が震えるのは、涙が出そうになるのは、きっとこれが最初で最後だという緊張と切なさのせいだ。


私への愛がなくてもいい。

今夜だけ、あなたを私のものにさせてください。

そうしたら諦めるから──。


お互いの隙間の空いた心を一時だけでも埋め合いたい、お互いの身体で。


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