この恋は、絶対に秘密!
その中に入っていたものは……ハート型にカットされた苺。

それをひとつ摘むと、未来くんはふわりと微笑む。



「急じゃないよ?僕はずっと瀬奈ちゃんが好きなんだから」

「っ……!」



その“好き”にも笑顔にも、恋愛感情はないってわかっているのに、私は不覚にもドキンと心臓を鳴らしてしまった。


そして、可愛らしい苺を口元に近付けられたおかげで反射的に口を開けてしまう。

ぽいっと放り込まれたハートは甘酸っぱくて、出来たばかりの胸の傷に染みるようだった。



「……からかわないで」



動揺を隠すように目を逸らしながらぽつりと呟くと、私はそそくさと未来くんから離れた。



失恋したばかりの私にそんな甘い言葉をかけるなんて卑怯だ。

だけど、そう簡単に気持ちが動くわけない。

私はまだ、彼に心を捕われたままなのだから──。








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