この恋は、絶対に秘密!
「和久井さん、スミヤの坂下さんが応接室に来てるからお茶お願い出来る?私ちょっと手が離せなくて」

「はい、わかりました」



安藤さんに頼まれて、私はお茶を汲んで応接室に向かった。


坂下さん、ってことはあの時岬さんに電話してきた男性だろう。

そう思い込んでいた私は特に深く考えずにノックをし、「失礼します」と言って扉を開けた。

……しかし。



「それで、お弁当の販売開始は10月の予定ですから、秋らしい内容にしていただきたいんです。
主婦の方もよく買っていかれるので、その方達に好まれるような……」



目の前のソファーに座って話すのは、岬さんよりも若そうな女性。

そして、彼女の顔から目が離せなくなった。


どこかで見たことがある……と頭を過ぎったのは一瞬で、それがどこかはすぐに思い当たった。


< 255 / 387 >

この作品をシェア

pagetop