この恋は、絶対に秘密!
彼女を送ってきた時しか来たことはなかったが、豪邸だからすぐにわかる。

門の前で一度軽く深呼吸をし、インターホンを押そうとした、その時。



「あらっ。イイオトコ!」



門の向こう側からそんな声がして、人差し指を立てた状態のまま固まった。

声のする方を見やると、深紅のカーディガンに細身のジーンズを履いた、小綺麗な格好をした女性が俺の顔をまじまじと見つめている。


びっくりした……人がいたのか。

どことなく見覚えのあるような美人だが、この家の中にいるということはもしかして。



「あの……」

「あぁ、ごめんなさい!今花壇の様子を見てたら、こんなカッコいい人が来るもんだから見惚れちゃってたわ!
うちに何かご用?」



やはり。この(テンションの高い)女性は和久井さんの母親か。


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