この恋は、絶対に秘密!
翌日、土曜日だったが今日中にやらなければならない仕事を片付けに出社した俺は、逸る気持ちを抑えながらデスクに向かっていた。
これが終わったら、和久井瀬奈のもとへ行こうと心に決めて。
美波ちゃん達に背中を押されたことで、もう俺の中に迷いはなくなっていた。
彼女に会って、お互い何も隠さずに向き合おう。
そう決心すると、会いたい気持ちに拍車が掛かる。
それなのに、こういう時に限って工場の方で問題が起こり足止めをくらってしまった。
結局、会社を出る頃は街は夕焼けに染まっていて、俺は足早に車に乗り込み彼女の家へと向かう。
だが、彼女が今家にいるとは限らない。
連絡してから向かえばよかったか……と、絵瑠の名で携帯番号を登録してあることを途中で思い出す。
「俺ってこんなにそそっかしかったか……?」
そう呟き、仕事以外はやはり浅はかな自分に落胆するのだった。