その恋、取扱い注意!
「あ! もしかして高校生? ごめんね~ 社会人になったら来てね」

私の顔を見ると、客引きのホストが苦笑いしながら言い手を離した。

高校生に見られて腹をたてるけれど、久我さんたちが立ち止まる私に気づかずに歩いている。
置いて行かれないように、ひょろっと背だけ高いホストを睨みつけてふたりを追いかけた。


「あったわ!」

キラキラ輝くLEDの看板を雑居ビルの2階に見つけたのは、それから少し経ってから。

ピンクのLEDの看板に『美人堂』って書いてある。

居酒屋らしくないんだけど……。

ふたり並んで歩けないくらいの狭い階段を、上がっていく久我さんと菊池さん。
私もふたりの後を付いていく。

あーお腹空いたな。なに食べよう……。

そんなことを考えながら、お店の中へ入った。

「いらっしゃ~~~~いませぇ~~」

目の前に現れた女性に、私の目が大きく見開いた。

え……? え? 

「3名様ですかぁ~ こちらへどうぞぉ~」

おネエ……? 

戸惑う私の腕に腕を絡ませ、久我さんがにっこり笑って席に向かう。


< 15 / 437 >

この作品をシェア

pagetop