その恋、取扱い注意!
私は気持ちを切り替えるために、軽く咳払いをした。

「ねえ、湊話したいことって、なんだった?」

スプーンの袋を切って、コーヒーゼリーの横に置いていた湊は、一瞬間を置いてから口を開いた。

「……高野先輩のこと」

「ど、どうして知ってるのっ?」

驚きすぎて、口をパクパクする私は、さしずめ金魚みたいだろう。

「なんで話してくれなかった?」

「だって……」

「ミミ」

「最初はね? 高野先輩がストーカーだって思わなかった。ううん、ストーカーと思いたくなかったの。でもどうして湊が……?」

「母さんから聞いたんだ。それとあのニューハーフの人から」

湊のお母さん、言わないでって言ったのに……。

「俺が車で行ったあの日、何かあったんだろう?」

「あの日……」

忘れようとしていた記憶が、つい昨日のことのように現れた。
膝の上で組んだ両手に震える。

「ミミ?」

湊は、私の組んだ手を包み込むように手を重ねた。

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