その恋、取扱い注意!
「湊……私……」

あの時のことを話すのは怖かった。
知られたら嫌われるんじゃないかと、そんな思いがよぎる。
胸を触られたのだから。

次の瞬間、湊の腕に絡め取られる。
抱きしめられることが自然に思える。
そんな心地良さをこんな場合でも思ってしまう。

「俺、高野先輩に会ったんだ」

「えっ?」

湊の肩口から、顔を上げて見上げる。

「なんで?」

「なんでって、好きな女がストーカーされているんだぞ? どうにかしなくちゃだろ」

「でも……」

「今度何かしたら婚約者の実家に知らせると脅しといた」

「婚約者の実家? 高野先輩の両親じゃなくて?」

「ああ。調べたんだ。アイツの婚約者の実家は、かなり大きい動物病院を経営していて、独立開業資金も婚約者の親が出してくれたらしい。このことを知られたら、開業は出来なくなる。そこに付けこんで脅したんだ」

「だから旅行のキャンセルが……」

「おそらく結婚はやめないはずだから、別の旅行代理店で申し込むだろうな」


裏で動いてくれた湊がとても頼もしく見えた。



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