その恋、取扱い注意!
「お帰り~」

リビングルームをのぞくと、バラエティ番組を見ながら父が晩酌していた。
外でほとんど飲んでこない父。
でも万が一という事もあるので、母に連絡をして父がいるか聞いていた。

「美海、今日は早かったのねぇ。てっきり遅いのかと思っていたわよ」

テレビを見て笑った母が、そのままの表情で私を見る。

「あの……」

これから湊が来るって言いづらい。

「どうしたのよ? テーブルの上に夕食あるわよ?」

「あのね? 後で湊が来るから」

言った!

「湊君が? どうかしたの?」

父は飲もうとしていたグラスを置いた。

「今日は実家に泊まっていくのか? 一緒に酒が飲めるな」

湊はお父さんのお気に入りだから、名前を出した途端顔を緩ませている。

「お父さんたら、何か話に来るんじゃないかしら」

さすが、私達のことを知っている母は、父に示唆する言葉を言う。

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