その恋、取扱い注意!
ううっ、緊張しちゃう。
今にも心臓が口から飛び出てきそう。
しかし、湊は後姿もカッコいいな。

そんな事を突っ立って考えていると、リビングの手前で湊は立ち止まり振り返る。
湊の視線とバチッと合って心臓が跳ねあがる。

「なにやってんの? 入るの俺ひとり?」

「ち、違うよ」

余裕ありげにニヤッと笑う湊に慌てて近づく。
そんな私の頭に湊はポンと手を置いてから、リビングに入った。
続いて私も入ると、一瞬シーンと水を打ったみたいに音がなくなった気がした。
実際はテレビの音はあったけれど、空気が張り詰めた感じだ。

父を見ると、湊の姿を見て言葉を失っているらしい。
それからハッとして口を開いた。

「そんな恰好をして、結婚式でもあったのか?」

そう思うのも無理ないけれど……。

湊から後ろにいる私に、父の視線が動く。

「美海まで?」

そこで母がクスッと笑う。

「お父さん、覚悟してくださいね」

「え?」

戸惑う父に母は構わず、にこやかに湊に座布団を勧める。

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