その恋、取扱い注意!
「失礼します」

湊は礼儀正しく、座卓を挟んだ父の対面に正座した。
私が隣に座るのを待ってから、湊は口を開いた。




湊の一言一言にただ頷くだけの私は、傍から見たら滑稽かもしれない。
両親に話すだけなのに、こんなに緊張するなんて思わなかった。
隣の湊が頼もしく見える。



「美海もとうとう嫁に行くのか……」

父は嬉しそうな半面、寂しそうに笑う。

「お父さん、行き遅れても困るでしょう?」

「それはそうだな。湊君なら安心だ」

「そうよ。お嫁に行っても実家はお隣なんですから。こんなに良い事はないですよ」

父と母の会話にホッとし、ずっとバクバクしていた心臓もやっと治まった。
だけど気になるのは父の表情で、お姉ちゃんの結婚もあり、それから私となると寂しい気持ちになるらしい。

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