その恋、取扱い注意!
「ありがとうございます。それで――」

「ああっ! 湊っ! ちょっと来てっ」

あたふたと立ち上がり、私の行動に呆気にとられたような湊の腕を引っ張る。
湊を立ち上がらせた私は「すぐに戻るね」と両親に言ってリビングを出た。



「どうしたんだよ?」

私の部屋に引っ張り込まれた湊は、困惑気味に口を開いた。

「あのね? 湊のマンションから会社に通うのをやめたいの」

「え?」

「お父さんの顔を見ていたらなんだか申し訳なくなっちゃって。結婚話だけでも衝撃なのに、その……湊と一緒に住むなんて……」

湊は私のために考えてくれているのに、申し訳なくなって最後にはしどろもどろ。

俯く私の耳に小さなため息が聞こえた。

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