その恋、取扱い注意!
「どうかした?」

久我さんがコーヒーをのせたトレーを持ち、立っていた。

「ううん。なんでもない」

隣の席に腰を下ろした久我さんは、カップを私の目の前に置いてくれる。

久我さんはガムシロを入れたコーヒーを一口飲むと、ふうーっとくつろぎのため息を吐いた。

「安西さん、今日はなんだかおかしいように見えたんだけど、気のせい?」

すごっ……たしかに紅緒さんが気になって上の空だったかも。

「私でよかったら相談にのるよ?」

相談というほどのことでもないけれど……言うのは恥ずかしい。
女の人が気になるなんて……。

アイスコーヒーの氷をストローで突っつき弄ぶ。

「言っちゃいなさいよ。案外スッキリするかもよ」

「久我さん……紅緒さんが気になるって言ったら、おかしいと思う?」

久我さんの気軽さと、お酒の入った勢いで、勇気を出して口にしてみる。



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