その恋、取扱い注意!
「え? 虫に刺されたんですか……?」

腫れると言ったら、それしか思い浮かばない。

じっと松下さんの口紅が取れてしまった唇を見るけれど、刺されたようには見えない。

「くすっ。虫に刺されなくても腫れるのよ? その分じゃ湊に愛されていないわね」

バカにしたように言った松下さんは、呆気にとられる私を尻目に更衣室を出て行った。

「今の……なに……?」

なにが言いたかったのか?

「さっぱりわからない……あ! いけないっ」

ロッカーのカギを開けてバッグからスマホを取り出してみると、湊から会社の前にいるとメールが入っていた。

久我さんが言っていたイケメンって、やっぱり湊のことだったんだ。

久我さんは湊が松下さんの彼氏だと勘違いしていた……ということは、よほど親しげに見えたのだろう。あ……!

松下さんの言葉が思い出された。

『くすっ。虫に刺されなくても腫れるのよ? その分じゃ湊に愛されていないわね』

それって湊とキスしたってこと……? そんな! ありえない。
湊は松下さんに、なんの気持ちもなさそうだし、会社の真ん前、しかも歩道で堂々とキスなんて……。

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