その恋、取扱い注意!
こう見ると、お姉ちゃんの彼氏、加藤さんが気の毒になる。
隣にいた湊と、お姉ちゃんに紹介されて数回しか会っていない加藤さんとでは、お母さんの親しみ感が違うから態度も違う。

「美海、早くしなさいよ」

玄関に現れた私に、お母さんが追い立てるように言う。

「湊、早いよ」

「15分って言っただろ。もう……3分過ぎている」

腕を少し持ち上げ、時計を確認する湊。

「女性に15分で支度しろと言うのが、無理なの」

ミュールをつっかけ、湊を置いて外へ出る。

太陽がまぶしくて目を瞬かせる。
すっかり夏の暑さだ。

もうすぐ梅雨明けかな。

そこへ湊が追いつき、私の頭をポンと叩いて先を歩く。

「なんだよ。その色気のない格好は」

「だからっ、湊が急かすからでしょう? それにショートパンツのどこが色気ないのよ」

湊だって似たり寄ったりな格好をしている。

濃紺の細かい錨の刺繍が入った紺色のポロシャツと、膝丈の赤いクロップドパンツを穿いている。

「はいはい。いつもどおりミミは可愛いよ」

おふざけで私をなだめる湊を、頬を膨らませて睨んだ。

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