その恋、取扱い注意!
「あ、湊、昨日来てましたね」

「ええ。突然だったから驚いたわ」

突然?

「帰って来たと思ったら、さっさと寝ちゃって。少しは話をしてほしいのに。だから男の子ってつまらないのよね。美海ちゃんのママが羨ましいわ。娘が2人もいるんですもの」

実家に用がなかったのならどうして……?

「着いたわ。見ていてあげるから入りなさいな」

「ありがとうございました。おやすみなさい」

誰もいない玄関に入り鍵をかけて、そのまま2階の自分の部屋へ上がる。
スマホをおもむろにバッグから取り出し、ドレッサーの上に置いた途端、画面が明るくなり着信の知らせ。

高野先輩!

名前を見た瞬間、息が止まるような息苦しさを覚える。
金縛りにあったみたいに、その場に動けずにスマホを見ている。

ブーブーブーと振動音がやけに大きく聞こえた。
なかなか切れない着信。

大きく息を吸って、スマホに手を伸ばした。

「しつこいです!」

『家に着いたんだね。2階の部屋に電気が点いた。そこが美海ちゃんの部屋なんだね』

家が見えるところにいる?

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