その恋、取扱い注意!
「心配だな。安西さん、小柄で手首掴んだら折れそうだし。襲われても抵抗できないんじゃない?」

「そんな……襲われるって……それにこう見えても力は強いんだから」

「じゃあ、これを護身用に持って行って」

ロッカーを開けて、バッグの中から出したのはヘアースプレー。
それを差し出され、受け取る。

「襲われたらそれを目にかけてやるのよ」

「すごい。思いつかなかったわ」

「番組で見たの。怯んだすきに助けを求めるのよ」

本当に高野先輩が襲うつもりなのかはわからないけれど、久我さんが貸してくれたヘアースプレーは心強い。
それをしっかりとショルダーバッグの中に入れた。

ファミレスに着いたのは午後8時。
時間の約束はしていないけれど、今まで私の行動を知っていたのなら大丈夫だろう。

高野先輩は中にいるはず。

喉が渇いて息苦しい。
おまけに緊張と食欲不振で、胃が再び痛くなってきた。

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