その恋、取扱い注意!
ファミレスの1階が書店、階段を上がる足が重い。
ふと足元を見る。
コンバースのスニーカーが目に入る。
何かあったら、走れるようにだ。
たっぷりしたシンプルなチュニックと、ジーンズで女っ気なしの装いも作戦のうち。
プラス、就業後にお化粧を落としてスッピンだ。

その姿はまるで高校生だ。

重いドアを開けて中へ入ると、並んでいる人はいなかったけれど席は満席に近いようだ。

頭をめぐらし、高野先輩を探す。

「いらっしゃいませ」

メニューを胸に抱えたウエイトレスが現れた。

「あ、約束をしていて――あ、いました」

高野先輩は喫煙席のブロックにいた。
身体をこちらに向けていて、私に気づいて立ち上がる所だった。
嬉しそうに手をひらひらと振り、招いている。

私がテーブルの横に立つと、タバコを灰皿に揉み消す。

「来てくれたんだね。嬉しいよ。座って」

座ってと指されたのは高野先輩の隣。

冗談じゃない。

ムスッとした顔で、対面に腰を下ろした。

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