あふれるほどの愛を君に

「これ、実家からだって」


缶ビールを二本、テーブルに置いた彼女のほうへ甘夏の入った袋を差し出した。


「ありがと。あたしもね、ハルに渡すものがあるの」


そう言って、近くのキャビネットから何かを持ってきたサクラさん。

彼女が僕に差しだしたのは ──


「遅くなったけど、おめでとうハル。本当は、今日一緒に出かけた時にって思ってたんだけど……」


それは、シルバーのリボンで結ばれた赤い箱。


「俺に? マジで? ありがとー、めちゃくちゃ嬉しいよっ」


サクラさんからの初めての誕生日プレゼントに、僕は飛び上がりたいくらい嬉しくて。開けてもいい?ってすぐに訊ねた。

彼女が小さく頷いて。小躍りしそうな気持ちを抑えながら、箱を手に取りリボンを引いた。


そして、ゆっくりとそっと開けた箱の中には……

── 黒いレザーウォレットが入っていた。


「ちゃんと誕生日に渡せなくて、ごめんね」


サクラさんが、小さく呟くように言った。

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