あふれるほどの愛を君に
語尾を弱め俯いた星野の肩を、じっと見つめた。
「相変わらずだね全然変わってない。痛いくらい素直なんだよね、心底困ったって顔まであの日と同じなんだもん。
でもね阿久津君、そんなに難しく考えないで」
そう言って顔を上げた星野は、なんていうかとても堂々としていた。
「彼女がいるとか関係ないよ」
「…星野」
「本当にその人のことを幸せにできる? どんなことでも乗り越えていける? なにより阿久津君自身が幸せになれる?」
真っ直ぐに強い眼差しを向けてくる。
「久しぶりに会って色んな話したよね、高校の頃のこと、仕事のこと……悩みも黙って聞いてくれた。それでね、話しながら阿久津君のこと段々心配になったの」
「……心配?」
「表情とか声とか、LINEの文とか……疲れてる? 何か悩みごとでもあるの?って気になるくらい変化があった。最初に札幌で会った時は元気な阿久津君だったのに、心配になったの。
わたし、今の自分に不満がありながら諦めてた。通信教育も気持ち半分で続けてて、でも阿久津君と会って変わりたいって思った。阿久津君がそう思わせてくれたの。
阿久津君、彼女さんになんでも話せてる? わたしならそんな顔いつまでもさせないよ。その人とわたしを比べてくれていいから、それで選んでよ。阿久津君の側にいさせて。あなたの笑顔をわたしに守らせてよ」